子どもの視覚認知の話

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視覚認知検査

視覚認知検査ってどんな検査だろう、
そんな疑問にやさしくお答えしたいと思います。

検査では、作業に必要な微細運動、学習や読書に必要な眼球運動など、総合的に視覚情報処理能力(視覚認知能力)の確認をします。
視覚認知検査は、次のような複数の検査を組み合わせて施行し、さまざまな観点から視覚情報をどのように捉え理解しているかを調べます。

→視覚-運動統合(目と手の協応)発達検査:VMI
→視知覚スキル検査:TVPS
→グッドイナフ人物画検査:DAM
→眼球運動の検査:DEM・NSUCO

視覚-運動統合(目と手の協応)発達検査-6版
VMI-6th(Developmental Test of Visual-Motor Integration-6th) 

この検査は、模写によって「目と手の協応」の能力をみます。被検者には、見本図形の形を認識すること(入力)と、それを描くためにイメージどおりに自分の手で作業する(出力)ことが求められます。
こうした手作業を微細運動といいます。手先で物を作ることはもちろん、日常生活でコップを握るといった、さまざまな細かい動きも微細運動です。
ちなみに身体全体を使う運動を粗大運動といいます。スポーツはもちろん、歩くことも粗大運動です。
いずれの運動も、視覚からの情報が重要です。視覚によって自分の身体と周囲の空間の関係を捉えられないと、文字学習にも影響しますし、日常において物に躓いたりぶつることも多く、また、いろいろな道具を上手に利用しにくいものです。

視知覚スキル検査
TVPS-R(Test of Visual-Perceptual Skills‐R)
TVPS-3(Test of Visual-Perceptual Skills‐3)

これらの検査は、同じ目的の検査です。
子どもの発達に応じた検査を1種類、施行します。子どもが視覚情報をどのように認知しているかを把握する検査で、視覚情報処理能力として下記のスキルを測ります。

■視覚情報の認識〈Visual Discrimination〉
形の理解力を測る基本的な課題です。見本の図形と同じものを複数の選択肢から回答します。図形の細かい特徴をつかめないと、はっきりと「これが見本と同じだ。」と選べず、「なんとなく同じ感じ。」とか、あるいは、みんな似ていて違いが分からないということが起こりえます。

■図と地〈Visual Figure-Ground〉
ごちゃごちゃした多くの情報の中から見本と同じ「形」を抽出する課題です。見本と同じ形が「図」と呼ばれるものです。「図」の周りの余分な部分は「地」と呼ばれます。この課題は自分にとって必要な視覚情報だけを選択的に取り出す能力が求められます。日常で物を探す時や、勉強中に本の文字列から要となる言葉を見つけだす時にも必要な能力です。

■空間関係〈Visual Spatial-Relationship〉
視覚的な上下左右、垂直、水平、斜めさ加減の空間認知能力が問われる課題です。こうした方向性や空間感覚は、自分の身体を中心に育まれます。そして、空間感覚の発達は、物の形の把握や文字学習を楽にします。
また、自分を中心とした空間を把握できてこそ、物理的に何がどのような関係に置かれているかを理解しやすいものです。

■恒常性〈Visual Form-Constancy〉
恒常性の能力とは、ある対象が置かれている環境や条件が変わっても、それがいつも同じものであると認識する力です。言うなれば、この課題には「認識」「空間関係」「図と地」が総合的に含まれています。
条件や注意事項が複数ある場合、目的の視覚情報に関してしっかりした概念がつかめないと判断があやふやになってしまいます。
たとえば、一つのものを別の角度から見ると認識できないのは不便です。また、文字やマークなどは日常の様々な場面にあふれています。ひとつの漢字でも、印刷されているものと学校で先生が黒板に手書きしたものが同じ文字として理解できないと学習しにくいものです。

■閉合〈Visual Closure〉
部分しか見えない視覚情報から、全体像をイメージする課題です。小刻みな手がかりを、頭の中で適切にまとめる必要があります。逆に、見本となる視覚情報全体を見た際に、 どういう要素で成り立っているかを分析する能力も問われます。
ちなみに、どの課題にも眼球運動は重要ですが、ここでも眼球運動を効果的に活かせないと、ばらばらな部分を関連付けにくい課題です。

■記憶:単一図形の記憶〈Visual Memory〉・連続図形の記億〈visual Sequential Memory〉
被検者の視覚的短期記億が問われる課題です。
「単一図形の記憶」は視覚情報に関する基本的な短期記憶の確認です。
「連続図形の記憶」は、形だけではなく複数の視覚情報の順序も短期記憶に保持する必要があります。
日常では、視覚情報を記憶することで、刻一刻と変化する身の回りの出来事や状況を適切に関係付けることができます。そうした記憶が保てないと、作業をしていても「あれ、なんだったけ?」といつも確認しなくてはならなかったり、あるいは、よいと判断して一生懸命にしたことが勘違いだったりしかねません。

グッドイナフ人物画検査:DAM(Draw A Man)

この検査は、人間の顔や身体をどう把握しているかという観点で発達をみる検査です。絵の上手下手ではありません。「人」を描くためには、自分自身の身体感覚をつかむことや、他の人のしぐさを見てその意味を理解できることが必要です。
お友達の顔の表情やジェスチャーの意味を理解し自分からも表現できることは、共感的なコミュニケーションとして楽しいことです。
ただし… 結果の数値は「グッドイナフ人物画知能検査・ハンドブック」にしたがって算出しますが、この検査により動作性の知能や発達のすべてが分かるわけではありません。
検査を受けられた方が、今後とも「人」だけではなく、周囲のあらゆるものに対する豊かな視覚認知を育むための参考にしてください。

眼球運動の検査

眼球運動は、 正確に視線を向けて視覚情報を入力するために大切な機能です。
ひとの網膜上で解像度がもっとも優れているのは、正面からの光を捉える中心窩(ちゅうしんか)という部分です。 目を動かして対象に視線をまっすぐ向け、 中心窩でものを見るために眼球運動は重要な機能です。

■眼球運動発達検査:DEM (Developmental Eye Movement test)
この検査では、読書をするときと同じような眼球運動が要求されます。視線を効果的に文字に向けられないと「行」がつかめず、斜めに数字を追ったり抜かしてしまったり、あるいは同じ箇所を重複して読んでしまうといったことが起こりえます。被検者の眼球運動の様子を把握することで今後の学習支援に役立つ検査です。

■指標による眼球運動の確認:NSUC0 (Northeastern State University college of Optometry)

【固視】
じっと見つめる機能です。見るべきものに視線を向け続けられることは大切です。
固視のイメージ

【輻輳】(ふくそう)
両眼を同時に寄せる水平方向の眼球運動です。見るべき対象を両眼視するための重要な機能です。いわゆる「より目」は輻輳にあたります。私たちは両眼視をすることで、立体感や奥行をつかむことができます。
輻輳のイメージ

【追従性眼球運動】
ゆっくりとした視線で対象を追う眼球運動です。飛んでいる虫を目で追うような眼球運動で、たとえば先生が書いて見せる漢字の書き順を理解するときも、こうした追従性眼球運動が必要です。
追従性眼球運動のイメージ

【衝動性眼球運動】
一点から別の一点に、すばやく視線を移動する眼球運動です。たとえば黒板とノートに交互に視線を向けるときや、読書時に単語や文節ごとに視線を移動して読むためにも、こうした衝動性眼球運動が必要です。
衝動性眼球運動のイメージ
(挿絵:本多和子
 
 
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